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フォロワーさんの大晦日SSに感化されて書いた、年越しがトラウマになっている02世界線の秋山遼。

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もうじき年が明ける。一人暮らしを始めて3回目の年越し。最初の1回は実家で過ごした。去年初めて2人きりで過ごした。パートナーと2人きり。

それは寂しいことだった。人間の恋人や家族ではなく、友でもなく、己の影と向かい合うだけの孤独な時間。刻々と世界中でパートナーが生まれる。組まれると言うべきか。世界中に選ばれし子供が満ちていく。戦うためでなく、進化するために。それに引き換え自分たちは。

殺し合うために選ばれたのだった。結局のところ、そういうことだった。

「お前は俺の敵か」とパートナーに問う。パートナーは答える。「そうだ、お前が俺の敵だ」そうなるために選ばれていた。あの大晦日に。

0時を待つ世界中の子供たちの隣にデジモンが現れる。人間の2本しかない手の片方をデジモンが塞ぐ。それを、秋山遼は寂しいと思った。遼はパートナーを愛していなかったから。人に対して想うように、パートナーを愛しく想わなかったから。

パートナーの中に、年が改まるこの瞬間に世界を滅ぼす力がある。けれど今年も、やがて年は変わるだろう。世界が滅びることなく、無事に。

デジモンが増えていく世界で、人と人が手を取り合わない世界で、いつか世界が滅ぼされる未来が訪れる日を、遼は危惧する。しかし遼は、ただ黙って過ぎていく時間を見ている。遼は世界を救うために、デジモンを殺さなければならない。

助けて(殺して)と呼ぶ声を聞かないために、TVもラジオもインターネットもない自分の部屋に閉じ篭る。パートナーを両手で抱いて、息を殺す。

「リョウ、新しい年だ」パートナーが時計を示して言った。頷いて遼が息をつく。「年越しおめでとう、リョウ」「ありがとう」抱きしめたパートナーをそっと放し、遼はいまにも泣きそうな顔で笑う。「さぁ、家に帰ろう」

2014/1/1
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「内側の感情」

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羨望は確かにあった。決して手に入れることができない輝きを、恨めしくも思った。けれどあの数人の選ばれし存在が特別で、自分はその他大勢なんだと、そう思って諦めていた。それなら諦めもついた。でも。

大会には、たくさんのその他大勢が居た。自分だけが仲間ハズレだった。何故、俺にだけパートナーがいないんだろう。どうして、お前は俺のパートナーじゃないんだろう。この世界に選ばれなかった筈の俺があんな凄い敵と戦って、勝てると本気で思っているのか?

俺には、勝てる自信があった。それだけは他の誰よりも得意だった。もし戦って、勝てたなら、この世界は俺を認めてくれるのだろうか。けれどそんな期待すら抱かせてくれないまま、たった1人で戦場へ投げ出された。請われるまま戦い、勝利し、俺は死んだ。殺された。

傷付いた体で再び俺は戦場へ。隣のこいつもまた、俺の手の届かない存在なのだろうか。それよりも、一番遠いところから真っ直ぐに降り注ぐ殺意の方が、俺を好敵手と認めるあの憎悪の方が、手を伸ばせば届きそうで。

殺意と憎悪ばかりが心を占めていた。進むためにたくさん殺した。失って初めて気付いた。欲しかった青い鳥はずっとここに居た。もう鳥は居ない。空っぽのタマゴが転がっていた。殺意と憎悪が無くなったのに他に何か残っているのだろうか。空っぽの殻だけじゃないか。

ここは心が力になる世界だと、ずっと前から知っていた。タマゴの中には俺の心が吸い込まれていく。繋がってる。その繋がりを選ばれたと呼ぶのなら、いま確かに選ばれている。選ぶ権利を与えられている。感情のままに世界を滅ぼす力を振るうか、それとも

ずっと憧れていたものがこの腕の中にある。それだけで、世界を滅ぼせるほどの悪意が消える。呪いが解けた。なんて単純な思考回路。0と1だけで出来た超軽量の頭! だけどずっとこれが欲しかった。世界を滅ぼしてでも手に入れたかった存在が、いまここに居る。

タマゴの中身は希望で満ちていた。
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最後まで誰もが、あいつが最終決戦までに鍛え上げた無双の戦闘力を、一度たりとも悪事に使わないと信じていたとしたら、楽天的過ぎだ。あいつだって人間だ、気の迷いくらいはあった筈だ…という話を書きたいです。

義理立てするほどの何もしてくれなかった世界だ。むしろ酷い目に遭うばかりで、もしかしたら良い思いなんか一度もしたこと無いんじゃないか? 恨まれて滅ぼされても文句言えないぞ。というか、なんであいつ子供らの味方してくれたんだろうな。いつ敵に回っても不思議じゃないのに。
7/18
「雪の女王」

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アンデルセンの雪の女王で「でもその子は何もかもを忘れてしまっている。あんたが誰か分からないだろう。それでも行くのかい?」「僕はどうしたのだろう。仲良しの友達がいた筈なのに、その子の名前も思い出せない」「お前の心が凍ったからだ」っていうパロください

「遼さん、僕が分からないの?」「わからない。お前は俺の敵か?」「ねぇ遼さん、ワームモンのことも忘れちゃったの?」「敵でないならお前に用はない」遼は賢に背を向ける。「ならお前たちが俺の敵か。……戦え、ズィードミレニアモン」遼は子供達へD-アークを掲げて

マサルは遼を追うでもなく、心底不思議そうに自らの拳を見つめた。「何で人間を殴ってデジソウルが出るんだ?」タイキが叫ぶ。「誰か、アナライザーであいつを見てくれ!」大輔がD-3を遼へ向けると一瞬の後、解析結果が浮かんだ。「何だこの『シェイドモン』って…」

ズィードミレニアモンが嗤う。「この中の幾人かは覚えがある筈だ。パートナーの命を失ったときの悲しみ、絶望の深さを! あの瞬間、遼の心は凍り付いた。戦い以外の全てを失ったのだ」ミレニアモンの一方の首が嗤いもう片方が涙する。「貴様らは遼の仇、我らの敵だ」

「戻れ、拓也!」アグニモンが足でブレーキを掛け、その眼前を何かの衝撃波が走り抜ける。「あいつ、何も覚えてないような顔して、しっかり覚えてるじゃないか」太一はタギルを見て言った。「俺や大輔はあいつに手の内を知られてる。切り札ははお前ら、新しい子供達だ」

「タイキさんはどうやってミレニアモンを倒したんだ?」「倒せなかったよ。人間の方を確保したんだ」「人間の方か…」「そうですよ!いま暴走してるのはデジモンじゃない、遼さんの方だ!」「でもどうやって?俺らの話しを聞くとは思えないし、お前らのことも覚えてないんだろ」

「いや、あいつは忘れてないよ。さっき見ただろ?2体のアグモンを見て驚いてた」「なら、俺が!俺とブイモンと、賢で行きます!」「賢?」「そうか!遼は 俺たちを敵だって言ったけど」「賢さんのことは『敵でない』って、そう言いました!」「決まりだ。あいつをぶん殴るぞ」
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…とか、そういう感じの漫画を読みたいです安西先生… 歴代が協力して立ち向かう的なアレが見たい。文章だと人数多いシーン難しいのよ。あと爽やかなあいつ殴りたい。叩けば治るよ、記憶とか。

童話の原型留めてないけど。童話通りに事が運ぶなら、凍った子供を泣かせて氷を溶かせば、勝ちです。
6/21
掌編と考察。


「秋山遼の選択」

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広場には沢山のモノドラモンの骸が積み上がっていた。

「この中から、君のパートナーを見つけてご覧。
正解は1つ。解答のチャンスは1回限り。さぁ、どれにする?」

芝居がかった声が降る。周りを囲む闇の中から、無数の目がこちらを見ている。
心はとっくの昔に決まっていた。

「なら、俺が選ぶぞ。いいかお前らよく聞け。一度しか言わないからな」
嘲笑に満ちた広場を見回し、楽しくなって俺は笑う。

「ここに居る全員を俺は選ぶ。みんな俺について来い」
合成獣を構成する無念も憎悪も羨望も。全部連れて俺は行く。

俺は知っている。
デジモンも人と同じように、純粋無垢な生き物じゃないってことを。
同じように、選ばれなかった悲しみを感じていたことを。

だからたった1つなんか選ばない。残らず全部俺の物にする。
そう決めていた。
7/4
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秋山遼の物語の最後はこうであってほしい。WS遼ならできるはず。一騎当千というか、1体にして軍団、みたいな存在。それを自ら「選ぶ」ところで終わる物語。
7/5
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どうアプローチしても遼のパートナーはモノドラモンなのか?という疑問は残る。モノドラだとしても「どの」モノドラなのかっていう堂々巡り。ブイモンの方がパートナーらしい交流だったから余計に。

ミレニアモンの一部になってしまった誰か(単数形)じゃなくて、群体としてのミレニアモン(複数形)がパートナーなのかなとぼんやり考えてる。誰とでもパートナーになれて、誰かの唯一、絶対の一人には選ばれない。

紋章やデジメンタル使い放題な、こいつの「心のかたち」は「不定形」なんだろう。留まることができない、という性質。揺らぎ、変容こそが本質。
9/24
「卵を孵す」

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ひとつのデジタマ。得たものはそれだけ。
失ったものは多い。得られなかったものも。

涙がぽた、ぽた、とこぼれた。タマゴの表面に留まることなくつたい落ちた。
帰ろう。とタマゴに声をかける。抱きかかえるに丁度いい大きさ。
すっぽりと両腕の中に収まって、あぁ他に何も持つことができない。

いつの間にか投げ捨てていたデジヴァイス――D-3だかD-アークだか正しい呼び名は忘れたままだ――を広ってズボンのポケットに突っ込む。

キラキラと弱々しい星のような光の道を、来たときと同じように突き進んでいく。命を燃やした皆の献身に、見合うだけの結果を、出せたのだろうか。

エニアックが合成音声で出迎える。

『オカエリ、リョウ』

 耳慣れた無機質なこの音声に、感情を投影して聞いてしまう。ただの決まり文句、システムメッセージではなく、心からそう言ってくれたのだと、自惚れてもいいだろうか。

「ただいま、エニアック」

ぴょこぴょこと、散っていたデジモンたちが集まってくる。

「リョウ?」「リョウが勝った!」「おかえりなさい」「怪我してない?」
口々にわっと喋り出す。
「あれ、モノドラモンは?」
その疑問に、胸がずきんと痛む。

 抱えていたデジタマを、エニアックに見せるためにそっと床へ置いた。

「ミレニアモンを戦いで倒すことはできなかった。モノドラモンがミレニアモンとジョグレスして、このデジタマが残った」

チ... チチ...... とエニアックの演算する音が響く。
『鼓動ガ、聞コエル』とエニアックが言う。悪い心だ、と。

“もし悪いデジモンに――”
モノドラモンの台詞が耳に蘇る。

元通りのあいつかもしれない。でも、もしもミレニアモンで生まれてきたとしても、今度こそ俺たちは、ベストパートナーになりたい。
俺のパートナーを悪いデジモンだなんて言わせない。もしそう言われたのならそれは、テイマーである俺の責任だ。こいつのせいじゃない。
なぜなら。生まれてくるこいつをこれから育てるのは、俺だから。

「エニアック、このデジタマは孵す。俺が責任を持って育てる。だから」

 『ハ、ハ、ハ。生マレテクル命ニ、良イモ悪イモナイ。本当ハ良イ心ノ鼓動ガ聞コエタ。安心スルトイイ』

エニアックが笑い声のようなノイズでふるえる。

「どちらでもいいさ。俺はこいつと……これからゆっくり俺の記憶を探す旅にでも出るよ」

『好キニスルトイイ。未来ヲ決メルノハ、イツダッテ子供ダ』

チ... チチ...... とエニアックが重そうに鳴いた。
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