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「内側の感情」

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羨望は確かにあった。決して手に入れることができない輝きを、恨めしくも思った。けれどあの数人の選ばれし存在が特別で、自分はその他大勢なんだと、そう思って諦めていた。それなら諦めもついた。でも。

大会には、たくさんのその他大勢が居た。自分だけが仲間ハズレだった。何故、俺にだけパートナーがいないんだろう。どうして、お前は俺のパートナーじゃないんだろう。この世界に選ばれなかった筈の俺があんな凄い敵と戦って、勝てると本気で思っているのか?

俺には、勝てる自信があった。それだけは他の誰よりも得意だった。もし戦って、勝てたなら、この世界は俺を認めてくれるのだろうか。けれどそんな期待すら抱かせてくれないまま、たった1人で戦場へ投げ出された。請われるまま戦い、勝利し、俺は死んだ。殺された。

傷付いた体で再び俺は戦場へ。隣のこいつもまた、俺の手の届かない存在なのだろうか。それよりも、一番遠いところから真っ直ぐに降り注ぐ殺意の方が、俺を好敵手と認めるあの憎悪の方が、手を伸ばせば届きそうで。

殺意と憎悪ばかりが心を占めていた。進むためにたくさん殺した。失って初めて気付いた。欲しかった青い鳥はずっとここに居た。もう鳥は居ない。空っぽのタマゴが転がっていた。殺意と憎悪が無くなったのに他に何か残っているのだろうか。空っぽの殻だけじゃないか。

ここは心が力になる世界だと、ずっと前から知っていた。タマゴの中には俺の心が吸い込まれていく。繋がってる。その繋がりを選ばれたと呼ぶのなら、いま確かに選ばれている。選ぶ権利を与えられている。感情のままに世界を滅ぼす力を振るうか、それとも

ずっと憧れていたものがこの腕の中にある。それだけで、世界を滅ぼせるほどの悪意が消える。呪いが解けた。なんて単純な思考回路。0と1だけで出来た超軽量の頭! だけどずっとこれが欲しかった。世界を滅ぼしてでも手に入れたかった存在が、いまここに居る。

タマゴの中身は希望で満ちていた。
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最後まで誰もが、あいつが最終決戦までに鍛え上げた無双の戦闘力を、一度たりとも悪事に使わないと信じていたとしたら、楽天的過ぎだ。あいつだって人間だ、気の迷いくらいはあった筈だ…という話を書きたいです。

義理立てするほどの何もしてくれなかった世界だ。むしろ酷い目に遭うばかりで、もしかしたら良い思いなんか一度もしたこと無いんじゃないか? 恨まれて滅ぼされても文句言えないぞ。というか、なんであいつ子供らの味方してくれたんだろうな。いつ敵に回っても不思議じゃないのに。
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