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「僕がずっとほしかったのは君かもしれない」

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あの日、太一くんを助け出したあの日。
僕にとっての12月31日。
みんなにとっての存在しない一日。

泣きながらアグモンと別れた。
子供だった。涙腺が弱かった。


それからはずっと
またあの場所へ行きたい、
呼ばれなくてもいいから
帰れなくなってもいいから
そう願いながら過ごしていた。


次の夏、とても嬉しかった。
チャンスだと思った。

あれから俺は努力して
泣かないくらいに強くなった。

でも賢を守るには足りなかった。


だからあの大会で戦った。
誰より強くなりたくて。

そして何もかもを失った。
泣くことも、笑うことも。



なにもない「はじまり」で
初めて出会ったとき
運命も絆も感じなかった。

それは
感じる心が壊れていたせいかもしれないし
本当に求めている相手ではなかったからかもしれない。

前へ進みたい衝動だけが
自分を生かす原動力だった。

目的は、忘れてしまっていたから。


いま、失ったものの代わりに、
新しい何かを手に入れたのかもしれない。

最初にほしかったものは、
あのときの気持ちは
もうどこにもないけれど。

この両手の中で
こぼれおちる涙を受け止めてくれる
ちいさな鼓動が
きっと応えを、
孵すと信じて温める。

2011年10月30日
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